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舞ちゃんの足跡

ボスミンを注入、心臓マッサージを何度もする。
AEDによる除細動。
心臓マッサージ。

何度か繰り返す。

そして、とうとう医師は言うのだ。
「お母さん、ダメです」

気丈に見守っていた妻は、声をつまらせ「ダメ・・?」とすがるように。

8月30日土曜日、12時5分。舞ちゃんの最後の足跡である。

入院して4泊5日目の朝に、舞ちゃんの様子を見に病院にいった。
午前9時に舞ちゃんの様子を見たが、急に意識を戻したり、また昏睡したりを繰り返していた。
最後の力を振り絞ったかのように、私たちに向かって歩き出し、声を出してくれたのだけれど、それを最後に急変をした。

蘇生の間、最後のAEDの電気ショックをするまで、ずっと舞ちゃんの身体を私たちは触り続けていた。

最後が告げられると、流石に辛かった。
妻は「ありがとう」と涙ながらに舞ちゃんの身体を摩る。
私は、泣き出しそうなのを我慢していたので、「がんばったね」と声にならない声をかけた。



私は何よりも、妻の悲しみが辛かった。
妻にとって、初めて一緒に暮らすことになった猫である。捨てられてしまいそうだった子猫を最大の愛情で育てていたのだ。

あまりにも急といえば急であった。
今回の入院で大変な思いをしても、これくらいは簡単に乗り越えて、余裕で20年は生きてくれるものだと思っていたのだ。

こう思い返すと、それも余りにも私たちの身勝手な話である。
舞ちゃんの都合も考えずに命の時間をどうこう言うなどと。

死は誰にでも訪れる。私にも、妻にも、誰にでも。
それだけは生まれた瞬間から約束されたもので、どう抗っても避けることはできず、避ける道理もないわけだ。
死んで行くことが不幸なことではないことはわかっている。
いかに生きたか、どのように生きたのかが大事なのだろう。

「どうだった?」と舞ちゃんに聞くこともできないだろうし、それを考えても仕方のないことだ。
舞ちゃんは舞ちゃんである。生き方はあの仔が決めることで、私たちはそのサポートをすることで、喜びをいただいてきたのだ。

それはわかっているのだけれど、でも、舞ちゃん、あなたの死は悲しい。

なぜ、悲しいかって、それはあなたが美しい猫だったから。私たち家族に平穏をもたらしてくれた猫だったから。
妻の支えになっていてくれたから。
私には無い部分で、妻の大きな支えになっていたから。
そして、帰って来たら、出迎えてくれたから。
私の股の間で寝てくれたから。
たまに私の手を噛んだから。

何よりも、いつも妻の味方でいたし、妻のストーカーだったから。

ああ、愛おしい。だから、辛い。
こんなにも身勝手な私たち。

舞ちゃん、私たちのとの暮らしはどうだっただろうか?

14年間。

短かったとか、早いとか、本当に勝手なことを言ってすまない。
でもね、情けない私たちは、あなたのようには生きられない。
真っ直ぐで、正直で、奔放に生きるには、人間は余りにも能力に欠ける。
羨ましいんだ。

逆に思えるかもしれないけど、舞ちゃん、私たちのことを忘れないで欲しい。
もしも生まれ変わるのなら、今度も舞ちゃんの好きなように生きて欲しい。

あなたの思い出は尽きない。

そして、正直に思う。舞ちゃんの空いた穴は大き過ぎるのだけれど、部屋に戻れば結ちゃんと、陽ちゃんがいる。
この仔たちがいて良かった。
いつでも、舞ちゃんと戯れていた頃を思い出せるのだから。

私たちは、いつも猫に感謝ばかりだ。


2014090223371345e.jpg

舞ちゃん、ありがとう。




*コメントいただいた皆様、今しばらくお待ちください。ここ20年間で一番大きなダメージなのです。
お返事は必ずいたしますが、ちょっとだけ遅れます。(いつも、遅いですが)






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コメント

No title

その後、気になり毎日覗いていましたが・・・そうでしたか・・・。

舞ちゃん、お疲れさまでした。
なるべく早く毛皮を着替えてお父ちゃんとお母ちゃんのもとに帰ってきてあげてください。
それと、うちのシシィを見かけたら帰りが遅いと怒ってると伝えてくださいな。

No title

こんな時なんと言っていいのか・・・

動物たちの最後はいつも潔くかっこいい。

泣いたり喚いたりしない。

全てを受け入れ静かに永い眠りにつく。

人間は決してかなわない。

舞ちゃん、きっとあなたもそうだったことでしょう。

安らかに。。。

。。。。

んとね・・・・月並みな言葉ですが、悲しみは二分の一が夫婦の単位で・・・と云いつつネコさんの旅立ちに極めて涙もろいニョろんですよ。こんな涙でも少しは来聖の呼び寄せに成ります様に・・・ ファイト!父ちゃん!!!

Re: No title

そふぃ&珠子ままさん
シシィちゃんは確か、夏の青空色の瞳でしたね。
今頃どこで遊んでいるんでしょう。
舞と遊びに来てくれないかなぁ・・・

Re: No title

sanmachanさん
そう、カッコいいんです。
そして、美しいんです。
簡単じゃないけど、シンプルで真っ直ぐな一生。
猫たちにはかなわないのです。

Re: 。。。。

ニョろん氏

私もやはり、泣いてしまいました。
もっと俯瞰して、その時のことを冷静に見れるものかと思いましたが、そうはいきませんでした。
でもね、舞ちゃんのことで泣くことができて良かったと思うのです。

No title

初めての猫は愛おしいです。
捨てられて、出逢ったのは巡り合わせですね。
舞ちゃんの14年間は、結ちゃんと、陽ちゃんをも導いたね。
ママの愛と、パパの優しさに感謝していますよ、今頃はお空で。
舞ちゃんのお悔やみを申し上げます。
舞ちゃん、もう苦しく無いね。お疲れ様です。
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ボスミンを注入、心臓マッサージを何度もする。AEDによる除細動。 心臓マッサージ。何度か繰り返す。 そして、とうとう医師は言うのだ。 「お母さん、ダメです」気丈に見守っていた妻は、声をつまらせ「ダメ・・?」とすがるように。 8月30日土曜日、12時5分。舞ちゃんの最後の足跡である。 入院して4泊5日目の朝に、舞ちゃんの様子を見に病院にいった。 午前9時に舞ちゃんの様子を見たが、急...